企業による自社株買いの影響

時々、大手企業において「自社株買い」の行われることがあります。自社株買いとはその名の通り、発行済みとなっている自社の株式を市場から買い戻すことです。

●自社株買いの目的
本来、株式を発行するのは、より多くの投資家に株式を購入してもらい、その資金で事業の拡大を図ることです。それに反するようなことをする目的には、主に以下の3つが挙げられます。
1)株価の引上げによる株主への利益の還元
2)ストックオプション(一定の価格での自社株の従業員への提供)の実施における従業員への付与
3)持株比率を高めることで、敵対的買収の阻止

●自社株買いによる財務数値の改善
一般的に、『自社株買いが行われると株価が上がる』とされています。その理由は、自社株買いが「B/S(貸借対照表)上の資本の減少」に繋がるからです。

自社株買いによって取得した株式は通常「消却」されるため、市場から無くなります。そして、発行済み株式数が減少することで、貸借対照表の資本も減少します。投資家が企業への投資を判断する上で一番重要資するのは、「自己資本利益率(ROE)」です。つまり、投資した資金に対してより多くの利益を付加して回収できることを期待します。

自社株買いによって発行済み株式数が減少すると、利益が減少しない限り、当然1株当りの純利益や純資産の数字がアップし、自己資本利益率が向上します。
・自己資本利益率=当期純利益÷自己資本×100%

例えば、発行済の株式数が2,000株で、純利益が2,000万円、1株当りの自己資本が10万円の場合、自己資本利益率は以下になります。
・自己資本利益率:2,000万円÷(2,000株×10万円)×100=10%
この時に、500株を自社株買いすると発行済株式数は1,500株になるため、2,000万円÷(1,500株×10万円)×100で自己資本利益率は13%に跳ね上がります。

●自社株買いによる株主への利益の還元
自己資本利益率のアップは保有株式の価値を高めることに繋がり、必然的に株価も上昇します。株価が上昇すれば、既存株主にとっては含み資産が増大することになり、結果的に株主に対する利益の還元になります。

なお、利益の還元ということであれば、株式への配当の増額という方法もあります。ただ、配当を増やすには原資となる利益が必要であり、また配当金には必ず税金がかかります。一方、自社株買いであれば配当のように定期的に行う必要がなく、株価の含み益が増大しても売却さえしなければ税金がかかることもありません。

●自社株買いに対する規制
自社株買いは自由にできるわけではなく、以下の規制が設けられています。
1)1日に複数の証券会社に対する買付けはできません。
2)終値への影響を与えないため、大引前30分は買付けができません。
3)寄付前に買付け注文を出す場合は、前日の終値以下での指値注文しかできません。
4)寄付後の買付け注文では、その日の高値を超える価格での指値注文ができません。且つ直近の売買価格を上回る価格での反復継続の指値注文はできません。
5)直近の4週間における1日当たりの平均取引数量の25%までしか買付けることができません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です